元顧問の賠償、再び認めず 秦荘中柔道事故、控訴審判決
京都新聞 2014年1月31日(金)23時9分配信
滋賀県愛荘町の秦荘中で2009年、柔道部員の村川康嗣君=当時(12)=が部活動中に死亡した事故で、遺族が一審大津地裁判決の一部取り消しと柔道部の元顧問(31)に約4千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、大阪高裁であった。小松一雄裁判長は遺族の請求を棄却した。
昨年5月の同地裁判決は元顧問の一定の過失を認定した上で、「国家賠償法上、公務員の職務の過失による損害で個人の責任は問われない」として元顧問への請求は棄却し、町に約3700万円の支払いを命じた。遺族側は、事故当日に元顧問が村川君に課した過酷な練習は民法の不法行為に当たり、元顧問に個人責任があると主張していた。
小松裁判長は、元顧問には部員の健康状態を監視するなどの義務があったと指摘し、元顧問の過失と村川君の死亡との因果関係を認めた。その上で、「国賠法上、公務員個人は責任を負わない」と、地裁と同様の判断を下した。
判決後、村川君の母弘美さん(46)=東京都八王子市=は「公務員なら学校でどんな行為をしても責任を問われず、国がお金を払えば済むといった判決だった。親としては不服」と話し、上告する方針を示した。